AWSは2026年9月29日、7つのサービス・機能について、提供条件の変更や終了を発表しました。Amazon DevOps Guruは2027年9月30日に終了します。AWS Infrastructure Composerは、単独の管理画面の提供を2026年12月7日に終了します。[1]
最初に確認したいのは、「新規受付の停止」「サービスの終了」「一部機能の終了」のどれに当たるかです。すべてのサービスが同じ日に止まるわけではありません。既存利用者が使い続けられるものもあります。
この記事では、公式資料を基に期限と必要な対応を整理します。期限までの日数、業務への影響による優先順位、移行費用の試算も加えました。情報の確認日は2026年10月1日です。
何が変わる?対象7項目の期限を一覧で確認
DevOps Guruなどは終了に向けた移行期間に入りますが、WorkSpaces Secure Browserなどは既存利用者への提供が続きます。まずは利用中のサービスを、次の表と照らし合わせてください。[1]
| サービス・機能 | 新規利用者への変更 | 既存利用者の期限・扱い | 最初に確認すること |
|---|---|---|---|
| Amazon DevOps Guru | 2026年10月29日から新規受付停止 | 2027年9月30日に終了 | 監視、通知、API連携、構成ファイル |
| Amazon Managed Blockchain | 2026年10月29日から新規受付停止 | 2027年9月29日に終了 | 利用中のネットワーク・APIに合う移行先 |
| AWS Backint Agent for SAP ASE | 2026年10月29日から新規利用者のダウンロード停止 | 2027年9月29日にサポート終了 | 新しい方式でのバックアップと復元 |
| AWS Infrastructure Composer | 2026年10月29日から新規受付停止 | 単独の管理画面は2026年12月7日に終了 | VS Code向けAWS Toolkitへの切り替え |
| Amazon Chime SDK SIP Media Application | 2026年10月29日から新規受付停止 | 既存利用者は継続可能。今回、終了日は発表されていない | 新しい電話システムの構築先 |
| Amazon WorkSpaces Secure Browser | 2026年10月29日から新規受付停止 | 既存利用者は継続可能。今回、終了日は発表されていない | 今後の導入・移行方針 |
| Amazon Mechanical Turk | 終了 | 個別FAQに記載された閉鎖日は2026年9月30日 | 提出済み作業の承認、支払い、取引履歴 |
出典:AWSの一括発表と各サービスの公式資料。[1][2][3][4][5][6][7][8]
Maintenanceは、新規利用者の受付を止め、既存利用者への提供を続ける段階です。Sunsetは、終了日を示して移行を求める段階です。終了日が決まっているかどうかで、対応をどれだけ急ぐ必要があるかが変わります。
Mechanical Turkは日付に食い違い 終了後にも手続きの期限がある
Mechanical Turkは閉鎖後も、作業の承認と取引履歴の確認に別の期限があります。AWSの一括発表には「9月29日から利用不可」とあります。一方、Mechanical Turkの利用者向けFAQは、閉鎖日を9月30日としています。[1][8]
この1日の差について、理由は確認できません。本稿では両方の日付を記載し、利用者に必要な手続きは個別FAQに沿って整理します。
| 期限 | 公式FAQにある扱い | 利用者の確認事項 |
|---|---|---|
| 2026年9月30日 | サービス閉鎖。作業の提出を終了 | 提出済みの作業と未提出の作業を確認する |
| 2026年10月30日 | 提出済み作業の承認・却下とボーナス付与の期限 | 発注者は未処理の作業を確認する |
| 2027年1月28日 | 取引履歴の閲覧期限 | 必要な履歴を保存する |
作業者は、報酬の受け取り方法と支払い周期も確認してください。FAQでは、承認済みの作業の報酬は、通常の支払い予定に従って支払うとしています。[8]
SageMaker Ground TruthとAmazon Augmented AIにも影響があります。9月30日以降、ラベル付けや人による確認を新たに設定する際、Mechanical Turkの作業者を選べなくなります。両サービス全体の終了という意味ではありません。[8]
独自計算:新規受付停止まで28日、Composerの画面終了まで67日
「来年の終了だから余裕がある」と考える前に、今年中の期限を分けて確認する必要があります。公式に示された日付まで、2026年10月1日から何日あるかを計算すると、次のようになります。
| 節目 | 公式日付 | 10月1日からの日数 |
|---|---|---|
| 対象サービスの新規受付停止 | 2026年10月29日 | 28日 |
| Infrastructure Composerの単独画面終了 | 2026年12月7日 | 67日 |
| Managed Blockchain、SAP ASE向けBackint Agentの終了 | 2027年9月29日 | 363日 |
| DevOps Guruの終了 | 2027年9月30日 | 364日 |
日数は暦日で計算した日付の差です。初日を含めて数えた日数ではなく、実際の停止時刻を表すものでもありません。期限の日付はAWSの公式表記を使っており、日本時間の停止時刻への換算はしていません。
たとえば、DevOps Guruの移行完了の目標日を終了日の30日前に設定するなら、2027年8月31日です。これは本稿の計画例です。AWSの指定期限ではありません。
この余裕期間に、通知漏れの確認や、元の運用に戻す必要があるかの判断を行います。移行先が動き始めた日と、旧サービスを止めてよい日は分けて考えると、計画を立てやすくなります。
DevOps Guru終了の影響は、監視画面だけにとどまらない
DevOps Guruが終了しても稼働中のアプリは直接止まりませんが、構成の更新や外部ツールとの連携に影響が出ます。DevOps Guruは、システムの異常を見つける監視サービスです。アプリやデータベースそのものを動かすサービスではありません。[2]
終了後は管理画面とAPIが使えなくなり、過去の分析結果も取得できません。APIは、ソフト同士が情報をやり取りする窓口です。社内のダッシュボードなどから呼び出している場合は、変更が必要です。[2]
構成ファイルでは、AWS::DevOpsGuru::ResourceCollectionとAWS::DevOpsGuru::NotificationChannelを確認してください。終了後は、これらの作成・更新が失敗します。AWSは、1つの処理が失敗すると、構成全体を更新できなくなる可能性もあると説明しています。[2]
構成ファイルは、クラウド環境の設計図に当たります。監視の部品が残っているだけで、別の部品を変更する作業まで進まなくなるおそれがあります。画面を使う担当者に加え、構成を管理する担当者も確認する必要があります。
移行先は用途で選ぶ CloudWatchとDevOps Agentの役割は違う
AWSは、異常検出と通知にはCloudWatch、AIによる運用調査にはDevOps Agentを案内しています。DevOps Guruで利用している機能を用途ごとに分け、それぞれを置き換える考え方です。[2]
ただし、移行先を選ぶだけで移行が完了するわけではありません。監視する項目、通知先、担当者が受け取る情報を確認する必要があります。
CloudWatchの異常検出は、過去の数値から通常の範囲を学習します。最大2週間分のデータを使いますが、2週間分がなくても有効にできます。新しいモデルの学習には最大2週間かかる場合があります。[9][10]
このため本稿では、旧監視を停止する前に、新しい監視の通知を一定期間確認する方法を勧めます。曜日による負荷の違いや月末の処理まで確認できるよう、確認期間は自社の業務に合わせて決めてください。
Composerは単独画面が終了 SAP ASEはバックアップの互換性に注意
同じ「終了」でも、Composerは作業画面の変更、SAP ASE向けBackint Agentは復元方法の見直しが中心になります。必要な作業の内容や負担は異なります。
Infrastructure Composerは、クラウドの構成を図で編集するツールです。単独のWeb管理画面は終了しますが、VS Code向けAWS Toolkit内の編集機能は続きます。保存済みのテンプレートと、既存のCloudFormation構成も影響を受けません。[3]
単独画面を使う人は、テンプレートの保存先を確認し、VS Codeで開けるか試してください。すでにToolkit内で使っている人は、今回の変更に伴う対応は不要とされています。[3]
より注意したいのは、SAP ASE向けBackint Agentです。AWSは、このエージェントで作ったバックアップを、推奨する代替方式では復元できないと説明しています。移行期間中に、新しい方式で完全バックアップを作る必要があります。[4]
SAP ASE 16.1以降では、S3への標準バックアップ機能が選択肢になります。ただし、公式資料には、バージニア北部リージョンのS3バケットは使えないという制約も記載されています。SAP HANA向けBackint Agentは今回の変更の対象外です。[4]
バックアップファイルが残っていることと、復元できることは別です。新しい方式で保存できたかに加え、実際にデータベースを戻せるかまで確認する必要があります。
Managed Blockchainなどは「推奨先なら同じ機能」とは限らない
移行先の名前が示されていても、機能やデータの形式がそのまま引き継がれるとは限りません。サービス名ではなく、今使っている機能を基準に比べる必要があります。
Managed Blockchainは、利用している機能によって移行方法が変わります。通常のブロックチェーン接続では、接続先や認証設定などの変更が中心になります。一方、AMB Queryは整理済みのデータを返すため、接続先を変えるだけでは移行できません。[5]
Hyperledger Fabricの利用者は、ネットワークや参加組織の識別情報なども見直す必要があります。複数の組織が関わる場合は、自社だけで移行日を決められません。早い段階で関係者との調整を始めてください。[5]
Chime SDKの対象機能では、電話システムの移行先にAmazon Connect Customerが案内されています。ただし、公式資料も、すべての機能を置き換えられるわけではないとしています。[6]
WorkSpaces Secure BrowserからWorkSpaces Applicationsへ移る場合も、追加設定が必要です。一度のログインで複数のサービスを使う仕組みや、監査記録などの扱いを確認してください。第三者製の企業向けブラウザーも候補ですが、クラウド側で動かす方式とは仕組みが異なります。[7]
独自分析:期限順だけでは不十分 業務への影響で優先順位を付ける
対応の優先順位は、「期限の近さ」と「失敗したときの影響」の両方で決めるのが現実的です。以下は、公式資料に記載された影響を基に、本稿で考えた判断例です。AWSが指定した順位ではありません。
| 確認対象 | 急ぐ理由 | 最初の到達目標 |
|---|---|---|
| Mechanical Turkの未処理作業 | 閉鎖後の手続き期限が近い | 承認・支払い・履歴保存の担当を決める |
| SAP ASEの復元方法 | 代替方式で旧バックアップを復元できない | 新方式の完全バックアップと復元試験を行う |
| Managed Blockchainの組織間調整 | 外部の参加組織との合意が必要になり得る | 参加者と移行方針について合意する |
| DevOps Guruを含む構成ファイル | 将来、構成全体の更新を妨げるおそれがある | 対象の記述と連携先を洗い出す |
| Composerの単独画面 | 今年12月に画面の提供が終了する | VS Codeで編集できることを確認する |
この表の順番どおりに、移行を一つずつ進める必要はありません。Composerの画面切り替えを進めながら、SAP ASEの復元試験やブロックチェーンの調整も始めます。
移行完了と判断する基準も、サービスごとに決めます。監視なら通知の到達、バックアップなら復元、ブロックチェーンならデータと権限の一致を確認します。新しいサービスに登録しただけでは、移行完了とは判断できません。
独自試算:移行費用は新サービスの月額だけではない
移行の予算には、新旧サービスを同時に使う費用と、設定・試験にかかる人件費も入れる必要があります。月額料金だけを比べると、移行期間の負担を見落とします。
ここでは、旧サービスを止める前に2カ月間並行運用する例を考えます。以下の金額や作業時間は、すべて仮定です。AWSの料金や標準的な作業量を示すものではありません。
| 仮定する項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 移行期間に追加する新サービスの料金 | 月3万円×2カ月 | 6万円 |
| 設定・連携変更・試験の人件費 | 40時間×1時間6,000円 | 24万円 |
| 移行期間の追加負担 | 6万円+24万円 | 30万円 |
これは、従来の運用費を基準にした追加分です。旧サービスの通常料金は引き続き別にかかります。データ転送、保存、追加ライセンス、外注費なども含めていません。
この例では、追加負担の80%が人件費です。仮に新サービスの料金が半額でも、追加負担の総額は30万円から27万円にしか下がりません。料金比較に加え、設定を流用できるか、試験に何時間かかるかを見積もることも、費用を抑えるうえで効果が大きいと分かります。
Azure・Google Cloudとの比較 監視機能はあっても自動移行ではない
異常や将来の問題を見つける機能は他社にもありますが、DevOps Guruの完全な互換サービスとは言えません。まず、置き換えたい監視機能と、監視に使うデータをそれぞれ比較してください。
| サービス | 公式資料で確認できる機能 | 比較時の注意点 |
|---|---|---|
| Amazon CloudWatch | 過去の指標から通常の範囲を学習し、外れた値を検出する | 指標、通知先、既存連携を設定する |
| Azure Monitor | 機械学習で通知の基準値を調整する動的しきい値 | 3日かつ30サンプル以上のデータを集めるまで、動的しきい値による通知は発生しない |
| Google Cloud Monitoring | 指標が将来、設定した基準値を超えると予測した場合に通知する | 異常検出と、基準値を超える時期の予測は目的が異なる |
出典:各社の公式文書。料金や検出精度の優劣を比較した表ではありません。[9][11][12]
AWS内で移行する方法には、既存環境との接続を保ちやすい利点があります。他社のサービスも候補に入れると、複数のクラウドを使う運用方針に合わせて、設計を見直せる余地があります。ただし、どちらも監視項目と通知の動作確認は必要です。
「他社へ替えればサービス終了のリスクがなくなる」とは言えません。移行先でも、データを取り出せるか、設定を保存できるか、別の製品へ変更できるかを確認してください。
過去事例と反証:新規受付停止は、すぐに使えなくなるわけではない
新規受付停止とサービス終了を同じ意味で扱うと、不要な移行を急ぐおそれがあります。AWS Cloud9では、2024年7月25日に新規利用者の受付を止めました。その際、既存利用者は通常どおり使えると説明しています。[13]
今回のWorkSpaces Secure BrowserとChime SDKの対象機能も、既存利用者は継続できます。一方、DevOps Guruには終了日があります。同じ「提供変更」でも、既存利用者が使い続けられる条件は異なります。[1]
また、DevOps Guruの移行先にAIを使うDevOps Agentが含まれていても、今回の7項目すべてが「AIへの置き換え」とは断定できません。SAP ASEでは標準のバックアップ機能、ComposerではVS Code内の編集機能が案内されています。[2][3][4]
サービス終了の背景を推測するより、公式に示された対象、期限、代替方法を確認するほうが、利用者の判断に役立ちます。
利用者が今確認したいこと
最初の一歩は、利用中のサービス名、対象アカウント、連携先、保存すべきデータを一覧にすることです。管理画面で使っていなくても、構成ファイルや社内ツールから利用している場合があります。
- 対象サービスを使うアカウントとリージョンを洗い出す。
- AWS Healthの通知と、各サービスの公式資料で対象範囲と期限を確認する。
- API連携、構成ファイル、自動処理、委託先の利用を確認する。
- 保存すべき分析結果、設定、取引履歴と、いつまでに取得するかを決める。
- 移行先の試験、切り替え、旧サービス停止の担当者と完了条件を決める。
特に、今年中の画面終了や手続き期限と、来年の移行期限を分けて管理してください。一覧にはサービス名と終了日に加え、「何を確認できたら移行完了と判断するか」まで書くと、対応漏れを減らせます。
関連ページ
今回の提供変更と合わせて、クラウド障害への備えや、障害の原因を確認する方法も見直しておきたいところです。
出典・参考資料
期限と提供条件は公式資料を基にし、日数、優先順位、費用例は、本稿で行った計算・分析として区別しています。公式資料の確認日は2026年10月1日です。
- AWS:AWS Service Availability Updates(2026年9月29日)
- AWS:Amazon DevOps Guru end of support
- AWS:AWS Infrastructure Composer end of support
- AWS:AWS Backint Agent for SAP ASE end of support
- AWS:Amazon Managed Blockchain end of support
- AWS:Amazon Chime SDK SIP media applications availability change
- AWS:Amazon WorkSpaces Secure Browser availability change
- Amazon Mechanical Turk:Closure FAQs
- AWS:Using CloudWatch anomaly detection
- AWS:Create a CloudWatch alarm based on anomaly detection
- Microsoft:Alert rules with dynamic thresholds overview
- Google Cloud:Create forecasted metric-value alerting policies
- AWS:How to migrate from AWS Cloud9 to AWS IDE Toolkits or AWS CloudShell(2024年7月25日)



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