国産AI「PLaMo 3.1 Prime」提供開始——Deep Researchを搭載、閉域環境の調査にも対応

Preferred Networks(PFN)は2026年10月27日、国産の生成AI「PLaMo 3.1 Prime」の提供を始めました。Web検索と、複数の資料を調べて報告書にまとめる「Deep Research」を新たに搭載しています。[1]

注目したいのは、社内に設置したサーバーでもDeep Researchを使い、閉域環境で社内文書だけを対象に調査できる点です。ただし、一般向けのクラウドサービスとは利用条件が異なります。国産AIだからといって、どのような使い方でも情報が外に出ないわけではありません。

閉域環境でできることや競合との違い、検索料金を含めた費用を、公式資料に基づいて整理します。独自の試算や運用案については、その旨を明記しています。

PLaMo 3.1 Primeとは——検索から報告書の作成までを支援

Deep Researchは、調べる項目を組み立て、検索と分析を繰り返しながら、出典付きの報告書を作る機能です。PFNによると、処理時間の目安は数分から数十分です。PLaMo Chat、PLaMo API、オンプレミスで提供されます。オンプレミスとは、自社で管理するサーバーなどにシステムを設置して運用する方式です。[1]

PLaMoは、PFNが国内で一から開発しているAI基盤モデルです。3.1 Primeは、情報通信研究機構(NICT)との共同研究で得られた事前学習モデルを基にしています。[2]

機能主な使い方依頼例
Web検索最新の情報を調べて質問に答えるあるサービスの最新料金を確認する
Deep Research複数の情報を読み比べ、報告書にまとめる複数のサービスを料金・機能・保存条件で比較する
閉域環境でのDeep Research社内の検索システムと連携し、内部資料を調べる設計書と過去の障害記録から、変更による影響を整理する

機能の説明は公式発表に基づいています。依頼例は用途を示すために本記事で作成したもので、実際の実行結果ではありません。

閉域環境で何ができる?——社内資料の調査と外部Webの調査を分けて考える

外部と通信しない閉域環境では、社内に用意した資料が調査対象になります。PFNは、社内文書の検索システムとの連携を前提に、内部資料とWeb情報を組み合わせる調査と、内部資料だけを使う調査の両方を案内しています。[1]

たとえば、社内に保存した製品仕様や議事録は調べられても、外部Webに接続できなければ、その場で最新ニュースを取得することはできません。外部情報を使うには、外部への接続を認めるか、承認済みの資料を内部へ取り込む運用が必要です。これは、調査対象と通信条件を踏まえた整理です。

クラウド版の公式マニュアルには、Web検索時に検索語句と閲覧先URLを国外の外部検索サービスへ送ると明記されています。推論や履歴を国内で扱っていても、検索を含むすべての処理が国内で完結するとは限りません。[3]

確認項目確認したい内容見落とした場合の問題
AIの実行先クラウドか、自社管理のサーバーか社内で動いているつもりで、外部サービスに情報を入力してしまう
検索先内部資料だけか、外部Webも含むか未公開の製品名などが検索語句に含まれ、外部へ送られてしまう
文書の閲覧権限検索対象が、利用者に閲覧権限のある資料に限られるかAIを通じて、本人に閲覧権限のない資料が見えてしまう
保存先入力内容、報告書、操作記録をどこに残すか元文書を保護していても、報告書を通じて内容が広まってしまう

この表は、本記事独自の導入時の確認案です。各項目の条件が製品の標準設定で満たされていると確認したものではありません。閉域環境での利用を検討する際は、AI本体に加え、検索先や閲覧権限、保存先まで含めて構成を確かめる必要があります。

ChatGPT・Geminiとの違い——社内資料を調べられるAIはほかにもある

PLaMoの特徴は、自社で管理する環境に設置し、調査機能を使える選択肢があることです。社内資料を使った調査自体は、海外のクラウド型AIでも可能です。

比較対象公式案内で確認できる調査機能使い分ける際に確認したい点
PLaMo 3.1 PrimeWeb調査、社内検索との連携、オンプレミスでのDeep Research外部に出せない資料を、自社管理の環境で扱う必要があるか
ChatGPTのdeep researchWeb調査、アプリやMCPを通じた情報源への接続既存の業務サービスを調査の情報源として使えるか
Gemini AppsのDeep ResearchWeb調査、ファイル、Gmail・Driveなどを使った調査Googleの業務環境と連携して使いたいか

出典:PFN、OpenAI、Googleの公式資料。MCPは、AIと外部の情報源などをつなぐ共通の仕組みです。この表は提供形態と用途を比べたもので、同じ課題を使って性能を比較したものではありません。連携機能の利用条件は、契約や設定によって変わります。[1][4][5]

Googleは、Google Searchを調査の情報源から外す設定も案内しています。ただし、Web検索を止めても、AIの処理が社内だけで完結するわけではありません。[5]

公開情報が中心の市場調査なら、複数のサービスに同じ質問をして比べる方法があります。外部に持ち出せない設計書を調べる場合は、まずAIの実行場所とデータの流れを確認してから、候補を絞る必要があります。これは本記事の分析です。

料金は検索費用も含めて比較——公式サンプルでは約52.32円

APIを使った調査の費用は、入力・出力の料金と、検索回数に応じた料金を合計して計算します。Standardプランの公表単価は、100万トークン当たり入力60円、出力250円です。トークンは、AIが文章を処理するときの単位です。[1]

検索には別途料金がかかります。公式マニュアルによると、2027年1月31日までのキャンペーン価格は1検索当たり2円です。Deep Researchの検索回数は、報告書1件につき15〜25回が目安とされており、検索料金だけで30〜50円になります。[3]

ここでは、公式API資料のサンプルにある入力182,340トークン、出力21,530トークン、検索18回を使って計算します。資料に掲載された例を費用に換算したもので、実測した利用額や平均料金ではありません。[6]

項目計算式試算額
入力182,340÷1,000,000×60円10.9404円
出力21,530÷1,000,000×250円5.3825円
検索18回×2円36円
合計10.9404円+5.3825円+36円約52.32円

この例では、検索料金が全体の約68.8%を占めます。同じ使用量で100件実行すると約5,232円です。公表されている単価で計算しており、請求時の端数処理などは反映していません。

出力する文章を短くしても、検索を繰り返せば、その分の料金はかかります。比較したい項目や対象企業を先に絞れば、不要な調査を減らせる可能性があります。ただし、検索を減らすことで重要な情報を見落とさないか、確認も必要です。

なお、この計算はオンプレミスの料金には当てはまりません。企業向けオンプレミスプランは個別見積もりです。機器や検索基盤、保守にかかる費用も含めて比較する必要があります。[1]

無料で試す前に確認——1日2回でも、検索回数には上限がある

無料キャンペーン中でも、毎日2件の報告書を月末まで作り続けられるとは限りません。PLaMo Chatでは、2026年11月30日までDeep Researchを1日2回まで無料で試せます。ただし、FreeプランのWeb検索には、1日60回、月200回という共通の利用枠があります。[7][8]

Deep Researchも、この検索枠を使います。検索の残り回数が足りないとエラーになるため、通常のWeb検索で何回使ったかによっても、利用できる回数が変わります。1日当たりの利用回数は、日本時間の午前9時にリセットされます。[8]

入力できる情報にも条件があります。Freeプランでは、入力と出力が保存され、学習に利用されます。個人情報は入力できません。Standard/Providerでも、確認時点では、Web検索とDeep Researchへの個人情報の入力は不可と案内されています。[3]

最初に試す資料としては、公開済みの製品情報や技術資料が適しています。オンプレミスで機密資料を扱う計画があっても、同じ資料をクラウド版の無料体験にそのまま入力してよいとは限りません。

性能はどこまで改善した?——得意分野と弱点の両方を見る

前モデルからの改善と、競合に対する性能は、分けて見る必要があります。PFNの評価では、推論モードのWeb検索レポートのスコアが、前モデルから平均11.1ポイント向上しました。一方、STEM/CodeとWeb検索QAでは、両モードとも比較対象のすべての競合を下回っています。STEM/Codeは科学・数学やプログラミング、QAは質問への回答を指します。[7]

PFNが公表した比較結果結果を読む際の注意点
前モデルとのWeb検索レポート比較推論モードで平均11.1ポイント向上実際の社内文書調査の正答率を示すものではない
比較対象モデルとの安全性比較両モードで最高スコア誤回答や情報漏えいが起きないことを保証するものではない
比較対象モデルとのSTEM/Code・Web検索QA比較両モードで全競合を下回る専門的な質問への対応は、実際の業務課題で比較したい

比較対象には、gpt-oss-120b、Gemma 4 31B IT、Qwen3.8 27B、Muse Glimmer 30Bが含まれます。これは開発元による評価で、すべての市販AIの中での順位を示すものではありません。[7]

PFNは、もっともらしい誤りを生成する「ハルシネーション」に関連する8指標で、平均約15%改善したとも表記しています。ただし、脚注では、旧版と新版のスコア差の平均と説明されています。「誤回答の件数が15%減った」という意味には読み替えられません。[1]

本記事では、PLaMoや競合を使った回答品質の実測は行っていません。報告書に出典が付いていても、その内容が結論の根拠になっているかは、人が確認する必要があります。

先行事例は日本総研——3.0の導入と3.1の調査機能は分けて捉える

日本総研の事例からはオンプレミスでの利用需要がうかがえますが、3.1のDeep Researchの効果を実証した事例ではありません。PFNと日本総研は2026年10月26日、PLaMoのライセンス契約を発表しました。対象はPLaMo 3.0 Primeで、オンプレミスでの全社利用と追加学習の検証を進めています。[9]

想定用途には、設計書やソースコードのレビュー支援、障害時の影響調査、社内規程の照会などがあります。いずれも、外部Webの情報より、内部の記録が判断の根拠になりやすい業務です。[9]

こうした用途を踏まえると、3.1では、内部資料の検索や要約に加え、複数の資料を横断する調査への活用も考えられます。ただし、調査時間やミスをどれだけ減らせるかは、導入先で検証する必要があります。これは、先行事例と新機能を基にした本記事の分析です。

利用者への影響——公開情報と機密資料では選ぶ条件が変わる

PLaMo 3.1 Primeを選ぶ際は、何を調べたいかに加え、データ管理の条件に合うかを確かめる必要があります。個人や小規模事業者は、まず公開情報の調査に使い、出典をたどりやすいか、確認作業が減るかを試せます。企業や自治体は、内部資料を扱うための環境構築費も含めて判断することになります。

たとえば、ニュース記事の下調べなら、発表日、提供開始日、料金、利用条件を項目ごとに整理させる方法があります。AIがまとめた文章をそのまま採用するのではなく、重要な数字の出典となる公式ページをすぐに確認できるかが、実用性を左右します。

閉域環境での利用は、外部サービスに資料を出せない組織にとって有力な選択肢です。ただし、資料が古い、検索対象が不足している、閲覧権限が整理されていないといった問題は、調査結果にも影響します。AIの性能を確かめるとともに、根拠となる資料やその管理体制を整える必要があります。

関連ページ

調査機能の利用条件は公式マニュアルで、AIによる文書検証との違いは関連記事で確認できます。

出典・参考資料

機能と利用条件は一次情報に基づいて整理し、費用の試算と検証案は本記事独自の計算・分析として示しています。情報確認日:2026年10月30日。実際のサービスで調査品質や閉域環境での動作を測定した記事ではありません。

  1. PFN:国産生成AI基盤モデルPLaMo PrimeにWeb検索・Deep Research搭載(2026年10月27日)
  2. NICT:Preferred Networksが国産生成AI基盤モデル「PLaMo 3.1 Prime」をリリース(2026年10月27日)
  3. PLaMo公式リファレンス:料金とデータの取り扱い
  4. OpenAI:Introducing deep research
  5. Google:Use Deep Research in Gemini Apps
  6. PLaMo公式リファレンス:Deep Research
  7. PFN Tech Blog:PLaMo 3.1 Primeをリリースしました(2026年10月27日)
  8. PLaMo公式リファレンス:PLaMo Chat
  9. PFN:日本総研とPFN、国産大規模言語モデル「PLaMo」のライセンス契約を締結(2026年10月26日)

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