Google、EUで「サイト評判の不正使用」対策を変更 日本のSEOには影響する?

Googleは2026年8月28日、「サイトの評判の不正使用」に対する執行方法を欧州で変更すると発表しました。8月30日以降、欧州経済領域(EEA)のユーザーに表示する検索結果では、このポリシーに基づく「手動による対策」の順位への影響を適用しません。一方、EEA外の検索結果では従来の措置を続けます。

結論から言えば、日本にいるユーザー向けの検索結果は今回の変更対象ではなく、違反部分に対する手動対策は引き続き効きます。ただし、Googleが審査時に見る4要素を新たに詳しく示したため、日本のメディアやアフィリエイトサイトにも無関係な変更ではありません。

「EUでペナルティーを撤回した」「欧州ではパラサイトSEOが解禁された」と理解すると、重要な部分を見落とします。なくなるのはEEA内における手動対策の直接的な順位効果であり、人による審査、Search Consoleへの通知、対象セクションを本体から分けて評価する仕組みは残ります。

この記事の要点

  • 対象はEU加盟27カ国だけではなく、アイスランド、ノルウェー、リヒテンシュタインを加えたEEAの30カ国
  • 基準になるのはサイト運営者やサーバーの所在地ではなく、検索結果を見るユーザーの所在地
  • 日本の検索結果では、サイトの評判に関する手動対策の効果は従来どおり
  • EEAでも対象セクションがメインドメインから分離され、独自の実力で順位付けされる可能性がある
  • 第三者コンテンツ、フリーランス記事、アフィリエイト記事という理由だけで違反になるわけではない

何が変わる?EEAと日本の違いを比較

今回の変更は「サイト単位」ではなく「検索者の所在地単位」で効果が分かれます。同じURL、同じ手動対策でも、日本から検索した場合とEEAから検索した場合で結果が異なり得ます。

比較項目EEA内のユーザー日本を含むEEA外のユーザー
開始日2026年8月30日従来の運用を継続
手動対策の順位への直接効果適用しない対象部分に適用する
過去に受けた手動対策EEA向け検索結果では解除影響が残る
対象セクションの独立評価メインドメインと分けて評価される可能性がある独立したセクションを認識するランキングシステムは従来から存在
人による審査残る残る
Search Consoleの通知届く届く
再審査リクエスト可能。一定の条件を満たす場合は調停手続きも用意可能

Googleの公式発表は、EEA外では違反部分に手動対策が直接影響する一方、サイトの残りの部分には影響しないと説明しています。EEA内では手動対策の効果を止める代わりに、対象セクションをメインドメインと別に分類し、時間をかけて独立評価する場合があります。分類は自動的に必ず行われるわけではなく、分類された事実そのものを負のランキングシグナルには使わないとも明記されています。

出典:Google Search Central「Update to the Site Reputation Policy」Google Web Searchのスパムポリシー(英語版)

そもそも「サイトの評判の不正使用」とは

Googleが問題にしているのは第三者が書いたこと自体ではなく、第三者のページを単独サイトで公開するより上位に出すため、既存ドメインのランキングシグナルを借りることを主目的に掲載する行為です。

一般には「パラサイトSEO」や「寄生サイトSEO」と呼ばれます。たとえば、教育サイトが複数サイトへ配布された消費者金融のレビューを掲載する場合や、医療サイトが本体と統合されていない低品質なカジノ広告ページを載せる場合が、現在の公式文書で違反例として挙げられています。

一方、次のようなコンテンツは、それだけで違反とはされていません。

  • 通信社やプレスリリース配信サービスのコンテンツ
  • ニュース記事の正規なシンジケーション
  • フォーラムやコメント欄などのユーザー生成コンテンツ
  • コラム、論説、通常の編集記事
  • 検索順位操作ではなく既存読者への情報提供を目的にした記事広告
  • rel="sponsored"rel="nofollow"などで適切に扱われたアフィリエイトリンク

つまり、「外注した」「広告がある」「アフィリエイトリンクを置いた」だけでは違反と断定できません。掲載目的と、ホストサイトが実際にどこまで編集・品質管理・読者対応を担っているかが問題になります。

なぜEUがGoogleのスパム対策に介入したのか

争点は検索品質だけではなく、強大な検索プラットフォームが、報道機関の正当な収益化や第三者との提携を一方的かつ不透明に制限していないかという競争政策上の問題です。

欧州委員会は2025年11月13日、Googleがデジタル市場法(DMA)で求められる公正・合理的・非差別的な条件を出版社に適用しているかを調べる正式手続きを開始しました。委員会は、ニュースメディアなどが商業パートナーのコンテンツを載せた際に順位を下げられ、一般的で正当な収益化手段が制約される可能性を問題視しました。

これに対しGoogleは、信頼されたドメインを借りる「pay-to-play」型のコンテンツは検索品質を悪化させ、DMAを広く適用し過ぎると検索結果の健全性を守れなくなると反論しています。今回の変更後も、同社はサイトの評判に関するポリシー自体を維持すると明言しました。

したがって、欧州委員会が「第三者コンテンツはすべて正当」と認定したわけでも、Googleが「従来の手動対策はすべて誤りだった」と認めたわけでもありません。欧州委員会は新方式の実施状況を今後も監視するとしており、制度評価はまだ終わっていません。

出典:欧州委員会による2025年11月の正式調査発表ロイター「グーグル、EUでスパムポリシー変更」

独自計算:Googleが回避した可能性のある制裁リスクはどの程度か

DMA違反の通常の制裁上限をAlphabetの2025年売上高へ機械的に当てはめると約403億ドルとなり、同年の営業利益の約31.2%に相当します。

欧州委員会によると、DMA違反には全世界年間売上高の最大10%、反復違反には最大20%の制裁金を科せます。Alphabetの米証券取引委員会(SEC)提出資料では、2025年の売上高は4,028億3,600万ドル、営業利益は1,290億3,900万ドルでした。

独自計算の項目計算結果
通常のDMA制裁上限4,028.36億ドル × 10%402.836億ドル(約403億ドル)
2025年営業利益に対する比率402.836億ドル ÷ 1,290.39億ドル約31.2%
正式調査開始から新方式開始まで2025年11月13日~2026年8月30日290日

これは法定上限を用いた規模比較であり、実際の制裁金を予測した数字ではありません。違反認定の有無、対象行為、重大性、是正状況などによって実額は変わり、制裁金が科されない可能性もあります。ただ、Googleが検索品質上の主張を維持しながら地域別の執行へ切り替えた背景を理解するうえで、無視できない金額規模です。

出典:欧州委員会「About the Digital Markets Act」Alphabet 2025 Form 10-K

独自分析:対策は廃止ではなく「審査」と「順位効果」の二層化

新方式は、違反かどうかを判断する層と、判断後にどの検索結果へどう効かせるかという層を分けたものです。EEAで消えるのは後者の手動降格であり、前者の審査は世界共通で残ります。

役割地域差
第1層:審査・分類第三者コンテンツがサイト本体へ十分統合されているかを人が審査するGoogleは世界共通で適用すると説明
第2層:検索結果への効果手動対策を直接効かせるか、セクションを独立評価するかを決めるEEA内とEEA外で分岐

この構造のため、EEA向け検索結果で手動降格がなくなっても、強いドメインの評価へ無条件に相乗りできるとは限りません。対象部分が独立セクションとして認識されれば、専門サイト、商品を提供する企業の公式ページ、ユーザー投稿サイトなどと「自力」で競争することになります。

また、Googleは独立分類した直後にメインサイトのランキングシグナルをすべて失わせるわけではなく、時間をかけて別々に学習すると説明しています。このため、8月30日に一斉回復または一斉下落するとは限らず、変化が数週間から数カ月に分散する可能性があります。ここはGoogleが期間を示していないため、予測を含みます。

Googleが新たに示した4つの審査要素

日本のサイト運営者にとって最も実務的な変更は、Googleが人による審査で見る4要素を明文化したことです。ただし、どれか一つを満たせば安全になるチェックリストではありません。

審査要素Googleが確認する内容サイト運営で残すべき証拠
表示とUXデザイン、書式、文字組み、操作性が本体サイトと一貫しているか共通テンプレート、通常のカテゴリー導線、パンくず、関連記事
品質本体にはない品質問題が対象部分だけに存在しないか編集基準、校正記録、更新履歴、一次情報、実測・比較データ
著者と責任著者、編集責任、所有関係の表示が実態と一致するか著者情報、監修者、編集部表記、広告表示、問い合わせ先
重複・横展開同一またはほぼ同一のコンテンツが複数サイトにないか独自取材、固有の写真・測定、元データ、他媒体との差分

Googleは、一つの要素だけで違反・非違反を決めることはなく、状況に応じて別の証拠も考慮すると説明しています。見た目だけを本体へ合わせたり、名義上の編集者を置いたりしても、内容が他サイトからの複製で検索流入だけを狙っていれば安全とは言えません。

公式文書の英語版と日本語版を比較して分かったこと

2026年8月29日の確認時点では、英語版には地域別の処理、4つの審査要素、3つの詳細事例が追加されていますが、日本語版にはまだ反映されていません。日本の運営者も当面は英語版を併読する必要があります。

公式文書の内容英語版(8月29日確認)日本語版(8月29日確認)
違反となる短い例2例5例
違反と見なさない短い例6例7例
客観的な審査要素4要素を掲載未掲載
詳細な適用事例3例を掲載未掲載
EEAとEEA外の違い掲載未掲載
地域別FAQ掲載未掲載

英語版では名称も「Site reputation abuse」から、より中立的な「Site reputation policy」という見出しへ変わっています。ただし、名称変更だけをポリシー緩和の証拠とみなすことはできません。

2024年11月のGoogleは、ホワイトラベル、ライセンス契約、部分所有など「ファーストパーティーの関与」を増やしても、第三者コンテンツの性質やランキングシグナルを利用する目的は変わらないと説明しました。2026年版は、実際の編集関与や統合度を4要素で確認すると具体化しています。両者を合わせると、契約や名義だけでは不十分だが、読者から見える編集・品質管理の実態は判断材料になるという整理が妥当です。

なお、日本語版は今後更新される可能性があります。公開後に読む場合は、英語版と日本語版の両方で最新の記述を確認してください。

比較元:英語版スパムポリシー日本語版スパムポリシー2024年11月のポリシー更新

3つの詳細事例から見える「安全」と「危険」の境界

新しい公式例で差を生んでいるのは、第三者を使ったかどうかではなく、本体サイトの読者向けに編集され、通常の導線へ統合され、責任の所在が見えるかどうかです。

Googleの想定事例判断の方向主な理由
専門業者と共同運営するクーポン・特売セクション対策の可能性は低いトップや記事から到達でき、共同編集、広告表示、問い合わせ先、独自の選別がある
著者不明で孤立したCBD商品のアフィリエイト記事EEA外では対策の可能性が高い著者・編集者・広告表示がなく、通常カテゴリーから孤立し、第三者市場の文章を複製している
フリーランスが取材した料理・レシピ記事対策の可能性は低いサイト専用の独自取材があり、著者、編集責任、アフィリエイト関係、デザインが明確

クーポンセクションが別CMSでも直ちに違反にならず、フリーランスが他社でも仕事をしていても直ちに違反にならない点は重要です。反対に、同じWordPressテーマを使い、形式上の編集者を表示しても、孤立ページや複製コンテンツであれば危険度は下がりません。

過去事例:2024年の対策で検索結果はどう変わったか

2024年の事例は、強い総合メディアの商業セクションが落ちた後、専門サイト、公式サイト、UGCプラットフォームが順位を得るケースがあったことを示しています。ただし、外部ツールだけでは手動対策との因果関係を確定できません。

時期出来事意味
2024年3月5日Googleが新ポリシーを発表サイト運営者へ約2カ月の準備期間を設定
2024年5月5日以降手動対策の執行を開始主に問題部分へ通知・検索表示上の措置
2024年11月19日ファーストパーティーの関与だけでは免責されないと明確化提携、外注、部分所有などの形式より掲載目的を重視
2025年11月13日欧州委員会がDMA調査を正式開始検索品質と出版社の事業自由の衝突が規制問題へ発展
2026年8月28日GoogleがEEA向け執行変更を発表世界共通だった手動対策の効果を地域別に分岐

SISTRIXは、2024年11月19日前後にForbesの「/advisor/」「/health/」「/home-improvement/」各ディレクトリの米国検索での可視性指標が0まで低下したと報告しました。ただし、第三者がSearch Consoleの通知を確認しない限り、個別サイトが手動対策を受けた事実は外部から確定できません。可視性低下とポリシー執行の時期が一致した観測事例として扱う必要があります。

出典:Googleによる2024年3月の発表SISTRIX「SEO Losers in Google US Search 2024」

競合比較:総合メディアが落ちた後、誰が伸びたのか

検索結果の競争相手は、別の大手メディアだけではありません。専門サイト、メーカーや公的機関の一次情報、RedditやYouTubeなどのUGCが、失われた順位を分け合う構図が見られました。

順位低下が観測されたセクション主なテーマ代わって伸びたと分析された競合
Forbes Advisor為替、定期預金、税、保険、住宅ローンXE、NerdWallet、Bankrate、Wise、Investopedia、米国IRS、Reddit
USA Today Reviewed家電、ゲーム機、衣料、日用品Reddit、YouTube、Amazon、Target、各ブランド公式サイト
New York Times Wirecutter商品レビュー、セール情報同時期にも流入増が観測され、すべての大手レビュー部門が一様に下落したわけではない

SEO FOMOの2024年11月調査では、Forbes Advisorが失った上位2,500キーワードを調べ、上記の専門サイトなどが伸びたとしています。また、Forbes AdvisorやUSA Today Reviewedが落ちる一方、WirecutterはAhrefs推計で増加していました。

ここから考えられるのは、「大手メディアの比較記事がすべて不利」ではなく、独自テスト、編集責任、通常読者との接続が弱い借り物型セクションほど競争力を失いやすいという仮説です。ただし、これは第三者ツールの観測に基づく推論であり、Googleが各サイトの評価理由を公開したものではありません。

出典:SEO FOMO「Who’s Winning After Google’s Site Reputation Abuse Policy Change」

日本のSEOへの影響を4つのケースで整理

日本語サイトの多くは直ちに順位が変わるわけではありません。直接影響の大きさは、対象セクションがEEAのGoogle検索からどれだけ流入を得ているかで決まります。

サイトの状況直接影響必要な対応
読者のほぼ全員が日本国内小さい。日本向け手動対策は変わらない通常どおりポリシー順守を優先
日本運営だが欧州からも検索流入がある同じURLのEEA流入だけ変化する可能性Search Consoleで国別に分けて測定
多言語メディアや国際的な商業セクション地域別の順位差が大きくなる可能性順位計測ツールの検索地点を固定し、EEAと非EEAを別管理
第三者へサブディレクトリを貸している日本では従来どおり高リスク契約名ではなく、編集・品質・重複・導線の実態を監査

重要なのは、.jp.comか、会社が日本にあるか、サーバーが欧州にあるかではありません。Googleの発表は「EEA内で検索するユーザーに表示される結果」を基準にしています。日本企業のサイトでもフランスのユーザーには新方式が適用され、EU企業のサイトでも日本のユーザーには従来の手動対策が効きます。

独自計算:自社サイトへの最大影響をEEA流入比率から見積もる

EEA外の流入が変わらないと仮定すれば、サイト全体への影響は「EEAから対象セクションへの流入比率」と「EEA内での増減率」の掛け算で概算できます。

サイト全体の推定変化率 ≒(変更前のEEA→対象セクションのクリック数 ÷ 変更前のサイト全体クリック数)× EEA対象セクションのクリック変化率

たとえば、サイト全体のGoogle検索クリックのうち、EEAから問題のセクションへ来る割合が5%だったとします。EEA内でそのセクションのクリックが2倍、つまり100%増えても、他地域と他セクションが不変ならサイト全体の増加は約5%です。

EEA→対象セクションの全体比率EEA内クリックの変化サイト全体への概算影響
1%100%増約1%増
5%100%増約5%増
20%50%増約10%増

実際には順位、表示回数、CTR、需要、季節性、他のGoogle更新が同時に動くため、この式は感度をつかむための概算です。それでも、EEA流入がほぼない日本語サイトが今回の発表だけを理由に大改修する必要性は低い一方、国際メディアは地域別データを確認すべきだと判断できます。

日本のサイト運営者が確認すべき7項目

対策の目的は「第三者が関わった痕跡を隠すこと」ではなく、読者に対する編集責任、独自価値、商業関係を見える形で示し、実際の運用も一致させることです。

  1. 掲載目的を一文で説明できるか:検索流入を除いても、既存読者がそのセクションを必要とする理由を書き出します。
  2. 著者と編集責任者を表示する:誰が執筆し、誰が事実確認し、誰が公開責任を負うのかを明示します。
  3. 一次情報と独自データを加える:公式資料の参照だけでなく、取材、実測、独自計算、比較条件、更新日を残します。
  4. 通常のサイト導線へ統合する:ホーム、カテゴリー、関連記事、パンくずから自然に到達できるようにします。孤立した検索流入専用ページを避けます。
  5. 本体と同じ品質基準を適用する:校正、法務確認、画像ルール、更新頻度、誤りの訂正方法を第三者制作ページにも適用します。
  6. 重複を監査する:提携先が同じ原稿やテンプレートを他ドメインへ横展開していないか、契約と公開前確認の両方で調べます。
  7. 広告・アフィリエイト関係を開示する:読者向けの表示に加え、広告リンクへrel="sponsored"またはnofollowを適切に設定します。

この7項目は免責条件ではありません。Google自身も、4つの審査要素のうち一つだけで結論を出さないと明記しています。特に、内部リンクを増やす、デザインを合わせる、社員名義へ変えるといった表面的な修正だけでは、掲載目的や複製の問題は解消しません。

「欧州で解除ならパラサイトSEOが復活する」という見方への反証

EEAで手動対策の効果が止まっても、対象セクションが独立評価されれば、借りたドメイン評価だけで上位を維持する戦略は成立しにくくなります。

よくある解釈検証結果
EEAではサイトの評判の不正使用が合法・容認された誤り。手動対策の順位効果を止めるだけで、審査、通知、独立評価は残る
EU企業のサイトだけが対象になる誤り。サイト所在地ではなく検索ユーザーの所在地で分かれる
日本でも同時にペナルティーが解除される誤り。GoogleはEEA外の運用に変更はないと明記
フリーランスやアフィリエイト記事はすべて危険誤り。独自制作、編集責任、適切なリンク処理がある非違反例をGoogleが示している
編集者名と広告表記を付ければ安全断定できない。目的、品質、UX、重複などを総合判断する
EUの介入でGoogleの対策が全面的に誤りと確定した誤り。正式調査と監視は続き、検索品質をめぐるGoogleの反論も残っている

ただし、反対方向のリスクもあります。手動対策による即時の強制力が弱まることで、独立評価が十分に機能するまでEEAの一部クエリに低品質な商業ページが戻る可能性は否定できません。現時点では施行前で実測データがないため、これは仮説です。

8月30日以降の影響をデータで確かめる方法

順位確認を一つの国・一つのキーワードで行うだけでは地域差を判定できません。対象セクション、通常記事、EEA、日本の4群を作り、変更前後を比較する必要があります。

  1. 対象URL群を固定する:第三者制作、クーポン、比較、レビューなど監視対象のディレクトリを決めます。
  2. 対照URL群を作る:同じサイト内の通常のファーストパーティー記事を、規模とテーマが近くなるように選びます。
  3. 国別に分ける:Search Consoleの検索パフォーマンスで日本とEEA各国のクリック、表示回数、CTR、平均掲載順位を取得します。
  4. 28日単位で比較する:速報値だけで結論を出さず、8月2~29日と8月30日~9月26日など同じ長さで比べます。
  5. 手動対策レポートを別に確認する:順位が戻っても通知が消えたとは限らず、順位が落ちても手動対策が原因とは限りません。

より厳密に見るなら、次の「差の差」の考え方が使えます。

推定影響 =(EEA・対象群の前後変化-EEA・対照群の前後変化)-(日本・対象群の前後変化-日本・対照群の前後変化)

この方法なら、サイト全体に同時発生したコアアップデート、季節需要、ニュース量の増減をある程度差し引けます。EEAのデータ量が少ない場合や、Search Consoleで匿名化・集計制限の影響が大きい場合は誤差が増えるため、結論を保留すべきです。

出典:Google Search Console「検索結果のパフォーマンス レポート」

今後、日本にも同じ方式が広がる可能性はある?

現時点でGoogleはEEA外の変更を発表しておらず、日本へ同じ方式が導入されると断定できる根拠はありません。

一方、Googleは2024年の時点から、メインコンテンツと独立・乖離したセクションを別サイトのように扱うランキングシステムがあると説明しています。EEAで採用する「独立評価」という考え方そのものは、欧州だけの新技術ではありません。

今後、EEAで手動対策を使わずに検索品質を維持できた場合、Googleがアルゴリズムによるセクション単位の評価をさらに重視する可能性はあります。しかし、これは公式なロードマップではなく、本記事の推測です。日本の運営者は制度の横展開を予想して先回りするより、第三者コンテンツが独立して評価されても競争できる品質へ改善する方が安全です。

まとめ:日本では従来ルール継続、ただし審査基準の明文化は重要

Googleの変更は、EEAでサイトの評判の不正使用を解禁するものではありません。日本の検索結果では手動対策が続き、EEAでは手動降格の代わりに対象セクションを独立評価する可能性があります。

日本語中心のサイトに直ちに起きる順位変動は限定的と考えられます。ただし、4つの審査要素と3つの詳細事例は世界共通の人による審査を説明したものであり、第三者制作、記事広告、クーポン、アフィリエイト部門を持つサイトは確認が必要です。

今回の出来事が示した本質は、「大手ドメインの評価を貸すか、借りるか」というSEOだけの問題から、検索品質、出版社の収益化、プラットフォーム規制が衝突する問題へ変わったことです。日本のサイト運営者に必要なのは、EU向けの例外を利用することではなく、どの地域で独立評価されても読者に選ばれる編集体制と独自価値を作ることです。

主な参考情報

※本記事は2026年8月29日時点の公開情報に基づきます。EEA向けの変更は2026年8月30日開始予定で、施行後の順位変動データはまだありません。第三者計測による過去事例は、個別サイトのSearch Console通知を確認したものではない限り、手動対策との因果関係を確定できません。

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