富士通がダイヤモンド量子コンピューター試作機 超伝導型より1.53℃高温で動く意味

富士通は2026年9月8日、ダイヤモンド中のスズ―空孔(SnV)センターを量子ビットに使い、フォトニクス集積回路と組み合わせたダイヤモンドスピン方式量子コンピューターのプロトタイプを開発したと発表した。動作温度は約マイナス271.6℃で、超伝導方式の典型値とされる約マイナス273.13℃より、わずか1.53℃高い。

日常の感覚では小さな差だが、絶対零度を基準にすると意味が変わる。前者は1.55K、後者は0.02Kで、絶対温度では77.5倍に相当する。冷凍機が処理できる熱量や、配線・制御回路を低温部へ配置できる余地にも、大きな差が生じる可能性がある。

ただし、今回の発表だけで「超伝導型より高性能」「実用化した」と判断することはできない。プロトタイプの量子ビット数、SnV量子ゲートのフィデリティ、コヒーレンス時間、光接続の成功率、消費電力、計算ベンチマークは公表されていないためだ。本稿では、富士通の一次発表、査読論文、冷凍機メーカーの仕様を基に、1.53℃差が持つ意味と未解決の課題を分けて検証する。

富士通のダイヤモンド量子コンピューター試作機とは

今回の成果の中心は「ダイヤモンドで量子ビットを作ったこと」だけではなく、SnVセンター、光導波路、回路変換、クラウド利用までを一つのプロトタイプにまとめた点にある。

富士通によると、このプロトタイプはダイヤモンド結晶中のSnVセンターをチップ上に集積した量子コンピューターとして世界初だという。ただし、この「世界初」は2026年9月時点の富士通調べであり、ダイヤモンド量子コンピューターそのものが世界初という意味ではない。

発表項目内容評価する際の注意点
量子ビット材料ダイヤモンド中のSnVセンター従来研究で多いNVセンターとは別の格子欠陥
動作温度約マイナス271.6℃(1.55K)室温ではないが、典型的な超伝導型の20mKより高い
光集積SnVを含むナノダイヤモンドとアルミナ光導波路を集積モジュール間接続の実測性能は未公表
材料加工ダイヤモンドを数百µmから数百nmへ薄層化量産歩留まりや均一性は未公表
利用方法Fujitsu Hybrid Quantum Computing Platformから制御方式の違いを隠蔽できることと計算性能は別
次の目標2027年に複数量子モジュールの試作機光接続の忠実度・速度・稼働率が焦点

「超伝導型より1.53℃高温」の本当の意味

1.53℃という差は、絶対零度の近くでは「少し暖かい」のではなく、絶対温度が77.5倍になる差である。

摂氏では小さく、ケルビンでは77.5倍

極低温を比較するときは、マイナス表記の摂氏よりも、絶対零度を0とするケルビンで見た方が実態をつかみやすい。

発表値をケルビンへ換算すると、ダイヤモンド試作機は「273.15-271.6=1.55K」、超伝導方式の典型値は「273.15-273.13=0.02K」となる。温度差は1.53Kだが、比率にすると「1.55÷0.02=77.5倍」だ。

方式摂氏絶対温度20mKを1とした比率
富士通のSnV試作機約-271.6℃1.55K77.5
超伝導方式の典型値約-273.13℃0.02K(20mK)1

たとえるなら、1.53mの高低差しかないように見えても、一方が水面から2cm、もう一方が1.55mの高さにあるようなものだ。基準点が絶対零度にあるため、同じ1.53という数字でも工学的な意味は大きくなる。

独自計算1:冷却に必要な理論最小仕事は約78分の1

同じ熱量を300Kの室温側へ捨てる理想冷凍機を仮定すると、1.55Kで必要な最小仕事は20mKの場合の約78分の1になる。

冷凍機の理論上限となるカルノー冷凍機では、低温側から1Wの熱を運ぶために必要な最小仕事を「300K÷低温側温度-1」で概算できる。

  • 20mK:300÷0.02-1=14,999W/W
  • 1.55K:300÷1.55-1≒192.5W/W
  • 比率:14,999÷192.5≒77.9倍

これは理想条件での比較であり、実機の消費電力を示した数字ではない。実際の極低温冷凍機には圧縮機、ポンプ、熱交換器があり、配線からの熱流入も発生する。温度段によって効率も異なる。富士通は過去の技術解説で、1Kまでの冷却に比べ、20mKまで冷却するには1,000倍以上のエネルギーが必要になるとしている。ただし、今回のプロトタイプ自体の消費電力は公表していない。

独自計算2:市販機の「熱を受け止める余力」には1万倍超の開き

市販冷凍機の仕様を目安にすると、1K段では20mK段の1万倍を超える冷却能力を確保できる例があり、低温部へ置ける配線や制御回路の設計自由度が変わる。

冷凍機メーカーBlueforsの公表仕様では、ヘリウム4を使う1Kシステム「XLDHehp」の冷却能力は1Kで200mW。一方、希釈冷凍機「LD450」の20mKにおける保証冷却能力は14µW超だ。単純に比較すると「200mW÷14µW≒14,286倍」となる。

異なる製品同士のカタログ値を比較したものであり、富士通の試作機の消費電力や搭載可能な量子ビット数を直接示す数字ではない。それでも、量子ビット制御回路、増幅器、光学部品、配線から発生する熱をどこまで許容できるかという「熱予算」の桁が変わる可能性は読み取れる。冷却温度が上がれば、冷凍機の電力だけでなく、低温部へ集積できる電子回路の数にも影響する。

試作機を成立させた3つの技術

富士通が解いたのは、量子ビット単体の問題だけではなく、硬いダイヤモンドを光回路へ載せ、読み出し光を取り出し、一般的な量子回路から制御できる形へつなぐ問題だった。

ダイヤモンドを約1,000分の1の厚さにする

数百µmから数百nmへの薄層化は、代表値同士で見れば厚さを約1,000分の1、つまり約99.9%減らす加工に相当する。

富士通は、スズをイオン注入した高品質ダイヤモンド基板を、アルミナ・酸化膜付きシリコン基板へ接合する異種材料接合技術を開発した。その後、数百µm厚のダイヤモンドを数百nmまで薄くしている。「数百」という幅があるため正確な倍率は出せないが、µmからnmへの単位変換だけでも3桁の薄層化になる。

目的は単なる小型化ではない。光を狭い領域に閉じ込めてSnVセンターと相互作用させ、半導体・フォトニクス製造の工程へ近づけるための土台になる。一方、薄膜の割れや接合界面の応力、SnVの位置ばらつき、歩留まりは、今後の量産性を左右する課題だ。

SnVとアルミナ光導波路を一体化

SnVセンターの価値は「ダイヤモンドだから丈夫」というだけでなく、量子状態を担うスピンと、遠隔接続を担う光子の橋渡し役になれる点にある。

プロトタイプでは、SnVセンターを含むナノメートルサイズのダイヤモンド結晶と、可視光に透明なアルミナ光導波路を集積した。量子ビットの初期化や読み出し時に生じる単一光子を、チップ上で取り出すためだ。SnVは反転対称性を持ち、電場など外部環境の揺らぎの影響を受けにくい。2023年のPhysical Review X掲載論文でも、SnVは1.7Kで有望なスピン―光子インターフェースとされている。歪みを加えたダイヤモンド膜では、99.36%のマイクロ波ゲートフィデリティと1ms超のコヒーレンス保護が報告された。

量子回路を光・マイクロ波・RF波の命令へ変換

ハードウェア方式の違いをプラットフォーム側で吸収できれば、利用者は超伝導かダイヤモンドかを意識せず、同じ入口から適した計算資源を選べる。

ダイヤモンドスピン方式の制御には、光、マイクロ波、RF波を組み合わせる必要がある。富士通は量子ゲートで記述された回路を、これらの物理操作に対応した制御列へ変換する機構を実装した。さらに、自社のハイブリッド量子コンピューティング基盤から試作機を利用できることをテスト環境で実証している。ユーザーにとっては、冷凍機の違いより「既存ソフトから呼び出せること」の方が、先に恩恵として現れる可能性がある。

NVセンターではなくSnVセンターを使う理由

室温動作だけならNVセンターに分があるが、富士通は高効率な光接続と安定した光学特性を優先し、1.55Kで動くSnVセンターを選んだと考えられる。

比較点NVセンターSnVセンター
不純物窒素原子+空孔スズ原子+2つの空孔
温度面スピン操作やセンシングは室温でも可能高品質なスピン・光学特性には極低温が必要
蓄積された実績論理量子ビット、誤り訂正、遠隔光接続の実証が先行量子コンピューターとしての集積は初期段階
光学特性有用な光子の取り出し効率が課題対称性が高く、環境ノイズに強い光学遷移が期待される
富士通の今回の位置付け過去の高精度ゲート・遠隔接続の実証基盤フォトニクス集積プロトタイプの量子ビット

富士通は今回のSnVセンターについて「従来比約10倍相当の高輝度」と説明している。光子を介して接続する場合、利用できる光子が少なければ、遠隔量子ビット間のもつれ生成を何度も試さなければならない。そのため、明るさの向上は演算速度そのものより、まずモジュール間接続の待ち時間を短縮する効果につながる可能性がある。

2022年から続く研究を「一台の試作機」に統合

今回の発表は突然の発明ではなく、NVで積み上げた誤り訂正・高精度ゲート・遠隔接続を、SnVと光集積を使う新しいハードウェアへ移す途中の節目である。

時期主な成果今回とのつながり
2020年富士通、デルフト工科大学、QuTechが共同研究を開始フルスタック開発の起点
2022年5月NVダイヤモンド量子プロセッサで、7量子ビットを使ったフォールトトレラントな論理量子ビット操作を実証誤り耐性へ向けた基礎
2024年2月4Kに置いたクライオCMOSでダイヤモンドスピン量子ビット1個を駆動配線ボトルネックの緩和
2025年3月NVの1量子ビット・2量子ビットゲートで99.9%超のフィデリティ誤り訂正に必要な精度の候補を実証
2026年2月クライオCMOSでNVの電子・核スピンを直接制御し、ゲートフィデリティ99.3%・99.8%を実証低温制御回路の集積を前進
2026年5月2mの光ファイバーで隔てたNV量子レジスタ間の遠隔ゲートを実証モジュール型アーキテクチャの先行証拠
2026年9月SnVと光導波路を集積したプロトタイプを発表個別成果をシステムへ統合
2027年目標複数量子モジュール型のプロトタイプSnV光接続の実力を検証する段階

2026年5月のNature Communications論文では、NVセンターを備えた2台の装置を2mの光ファイバーで接続し、遠隔量子ゲートを実行した。装置温度は3.9Kと3.4Kだった。この成果は光接続の原理を裏付けるものだが、今回のSnVプロトタイプで同じ性能を達成したことを示すものではない。

競合方式と比較すると「高温」だけでは勝敗は決まらない

富士通の1.55Kは超伝導方式より扱いやすい一方、室温動作を掲げるダイヤモンドNV、イオントラップ、中性原子方式より温度面で優位とはいえない。

方式・例量子ビット周辺の温度拡張の考え方強み主な課題
富士通のSnVダイヤモンド1.55K小型モジュールを光接続超伝導より高温、高輝度、フォトニクス集積量子ビット数・SnVゲート性能・モジュール間性能が未公表
超伝導(IBM、富士通・理研など)約10~20mKチップ内・チップ間配線と冷凍機を大型化多数の量子ビットと高速ゲートの実績熱予算、配線、冷凍機サイズ
Quantum BrillianceのNVダイヤモンド室温小型アクセラレーターとして既存計算機へ統合大型冷凍機が不要大規模計算で比較可能な性能指標がまだ限られる
IonQなどのイオントラップ装置は室温動作が可能光学系と量子ネットワークで接続高い接続性とフィデリティ超高真空、レーザー制御、ゲート速度
QuEraなどの中性原子装置は室温、原子はµK級光ピンセットで原子配列を拡大大規模な原子配列を作りやすいレーザー・真空・誤り訂正の統合

Quantum Brillianceは、NVダイヤモンドを使った室温量子アクセラレーターを展開している。つまり、「ダイヤモンド方式なら1.55Kが最高温」というわけではない。富士通の特徴は温度だけにあるのではなく、SnVの光学特性、集積光回路、遠隔モジュール接続、超伝導方式との将来的な連携までを一つのロードマップに組み込んでいる点にある。

反証:1.53℃高いだけで実用化が近いとは言えない

今回証明されたのはプロトタイプが1.55Kで動作し、共通基盤から制御できることまでであり、大規模量子計算の優位性ではない。

量子ビット数と計算性能が公表されていない

量子コンピューターの評価には、温度よりも量子ビット数、ゲートフィデリティ、回路深さ、実行速度、稼働率を組み合わせたデータが必要だ。

発表資料には、物理量子ビット数、実行したアルゴリズム、エラー率、ベンチマーク値が記載されていない。装置としての外観を備え、クラウド経由で操作できたとしても、有用な問題を既存の計算機より速く解けるとは限らない。

99.9%超の実績はNVであり、今回のSnVではない

富士通が根拠として挙げる0.1%未満のゲートエラーは2025年のNVセンターの成果であり、今回のSnVプロトタイプの実測値として読み替えてはいけない。

Physical Review Appliedの2025年論文が対象としたのは、NVセンターの電子スピンと窒素核スピンから成る2量子ビット系だ。SnVには高輝度と対称性という利点がある一方、制御方法や熱によるデコヒーレンス、集積後の歪みといった別の課題がある。

1.55Kでも冷凍機と低温光学系は必要

20mK用の希釈冷凍機を簡略化できる可能性は大きいが、1.55Kは依然として極低温であり、家庭や一般サーバー室でそのまま動かせる温度ではない。

真空断熱、パルスチューブ冷凍機、低振動設計、磁場、レーザー、光子検出器などは依然として必要になる。システム全体の消費電力が量子ビットの冷却だけで決まるわけでもない。冷凍機を小型化できても、レーザーや制御電子回路の消費電力が増えれば、システム全体で見た省エネ効果は小さくなる可能性がある。

光接続は「つながる」と「速く確実につながる」が別

大規模化を決めるのは光導波路の有無ではなく、モジュール間でもつれを作る速度、成功率、フィデリティを同時に満たせるかである。

単一光子は、発生、取り出し、導波路への結合、伝送、検出という各段階で失われる。別々の量子ビットから出た光子の周波数がそろわなければ、高品質な干渉も難しい。発表された「約10倍の高輝度」が、そのままシステム全体で10倍の接続速度につながるわけではない。

独自分析:10倍の高輝度は接続成功率を最大100倍にし得るが、上限試算にすぎない

2つのモジュールから光子を1個ずつ取り出す方式では、両端の利用可能光子率が各10倍になれば、他の条件が同じという理想条件で同時成功確率は最大100倍になり得る。

2光子検出型のもつれ生成を単純化し、各端点から利用可能な光子を検出できる確率をηとすると、両端でそろう確率はおおむねη2に比例する。ηが10ηになれば、積は100η2になる。明るさの改善は単純な10%向上ではなく、ネットワーク接続では二乗で効く可能性があるということだ。

ただし、これは「従来比10倍」が各端点の有効な検出確率へそのまま反映され、検出器の飽和、光学損失、暗計数、光子の非識別性、メモリー寿命が変わらないと仮定した場合の上限試算だ。富士通は比較対象となる「従来」の詳細や、もつれ生成率の実測値を公表していない。実際の改善幅は100倍を大きく下回る可能性がある。

富士通が超伝導型とダイヤモンド型の両方を開発する理由

富士通は勝つ方式を一つに絞るのではなく、超伝導型を高速な計算モジュール、ダイヤモンド型を高精度メモリーや光インターコネクトとして組み合わせる選択肢を残している。

富士通・理研は2025年に256量子ビットの超伝導量子コンピューターを開発し、富士通は2030年度に1万物理量子ビット超、250論理量子ビットを目指している。ダイヤモンド方式では、2027年に複数モジュールの試作機を計画している。さらに、両方式を接続する技術も開発する方針だ。

この戦略は、CPUとGPUを役割に応じて使い分ける異種コンピューティングに似ている。超伝導量子ビットによる高速な局所演算、ダイヤモンド核スピンの長い記憶、光子による遠隔接続を組み合わせられれば、巨大な一枚のチップを作らずにシステムを拡張できる可能性がある。ただし、異なる方式の間で量子状態を変換すれば、新たな損失やエラーも発生する。両方式を統合すれば、それぞれの長所だけを自動的に得られるわけではない。

読者や企業への影響はいつ現れるのか

短期的な影響は計算速度の飛躍ではなく、量子ハードウェアを共通のクラウド基盤から試せる選択肢が増えることにある。

  • 量子ソフトウェア開発者:方式ごとの制御の違いを意識せず、同じ量子回路を異なる実機へ振り分けられる環境が整いやすくなる。
  • データセンター事業者:20mKより大きな熱予算を使えるなら、冷却設備、低温配線、制御ラックの設計を簡素化できる可能性がある。ただし、設備仕様と消費電力の実測値を待つ必要がある。
  • 材料・製造企業:高純度ダイヤモンド、イオン注入、異種材料接合、薄膜加工、可視光導波路、単一光子検出の供給網に商機が広がる。
  • 量子計算の利用企業:創薬、材料、金融で直ちに既存計算機を置き換える段階ではない。2027年の複数モジュール機で、実用回路を何層まで動かせるかを確認する必要がある。
  • 一般のIT利用者:暗号が突然破られるような成果ではない。耐量子暗号への移行計画を進める一般的な理由にはなるものの、今回の試作機だけで緊急度が変わったとは言えない。

2027年の複数モジュール機で確認すべき7指標

次の評価軸は量子ビット数の見栄えではなく、SnVモジュール間接続を含む一連の処理が、どれだけ速く正確に繰り返せるかである。

確認項目重要な理由
SnVの物理量子ビット数今回非公表だった規模を確認できる
単一・2量子ビットゲートフィデリティNVで達成した99.9%超をSnVでも再現できるか分かる
コヒーレンス時間計算・待機・光接続を完了できる時間の上限になる
モジュール間もつれ生成率光接続による拡張が実用速度に達するかを示す
モジュール間ベル状態フィデリティ接続時のエラー訂正コストを左右する
冷凍機を含む総消費電力「高温動作」が運用費削減へつながるか検証できる
稼働率・再校正頻度研究装置からサービスへ進めるかを判断できる

まとめ:1.53℃差より重要なのは「光で増設できるか」

富士通の試作機の意義は、超伝導型より1.53℃高いこと自体ではなく、絶対温度で77.5倍高い環境に、SnV量子ビットとフォトニクス回路を集積し、光接続型の量子コンピューターへ一歩進めた点にある。

独自計算では、同じ熱を運ぶために必要な理論最小仕事に約78倍の差があり、市販冷凍機のカタログ上の冷却能力にも1万倍を超える開きが見られた。さらに、数百µmから数百nmへのダイヤモンド薄層化は約1,000分の1に相当する。温度差は冷却設備だけでなく、低温部へ制御回路を集積しやすくする余地にもつながる。

ただし、99.9%超の高精度ゲートと遠隔量子ゲートはNVセンターで得られた過去の成果であり、今回のSnV試作機で測定された性能値ではない。量子ビット数やベンチマークも公表されていない。評価が固まるのは、富士通が2027年に目指す複数量子モジュール機で、光接続の速度・精度・安定性と総消費電力が示されたときだ。

主な参考情報

発表内容と独自計算の前提を検証できるよう、企業発表だけでなく査読論文と冷凍機の製品仕様を併記する。

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