Perplexity、Cometブラウザが誰でも使えるAIブラウザに ~新時代のWeb体験へ~
無料化の背景

- Perplexity はこの無料化を通じて、ブラウザを “インターネット接点” として持続的に使われる基盤にしようとしています。 Chrome や Safari といった既存ブラウザに対する挑戦と見られます。
- また、PayPal などと提携し、既存のユーザー基盤を活用して Comet の早期アクセス提供も行っており、利用者拡大に注力しています。
- モバイル端末へのプリロード(出荷時インストール)構想も進んでおり、スマホブラウザ市場への影響も視野に入れているようです。
「Comet」はもともと月額約200ドルの有料プラン専用ブラウザでしたが、Perplexityは今回、AIブラウザを全ユーザーに無料開放しました。
目的はユーザー拡大と、利用データの収集によるAI性能向上です。
競合であるGoogle ChromeやEdge Copilotの存在も大きく影響しました。AIブラウザ市場が急拡大する中で、早期のシェア獲得を狙っています。特に学生やビジネス層への浸透を意識した施策と見られます。
PayPalやVenmoユーザーへの先行配布も話題となりました。
また「AI検索体験をより多くの人に」という理念も打ち出されています。無料化は広告モデルやプレミアム機能への布石でもあります。
今後、利用者数の増加に伴うサーバー負荷も課題となりそうです。
参考サイト
The Verge — Perplexity’s Comet browser is now available to everyone for free
Business Insider — Perplexity makes its $200 AI browser free
TechRadar — I just tried the Comet browser from Perplexity
Perplexity AI — Introducing Comet: Browse at the speed of thought
The Indian Express — Can Comet replace Google Chrome? A closer look
主な特徴

- Comet は Chromium ベースで、Chrome の拡張機能をそのまま利用できる互換性を備えています
- ブラウザには Comet Assistant と呼ばれる AI エージェントが統合され、開いたウェブページの内容を要約したり、タスクを支援したりできます。
- また、タブ管理、メール/カレンダーの内容参照、ウェブ検索補助などをページ横でサポートする UI が導入されています。
- Comet Plus という有料プランも別途あり、厳選ニュースコンテンツへのアクセスなどの特典を提供する仕様が設けられています。
CometはAIとブラウジングを完全統合した次世代ブラウザです。CometはChromiumベースで作られているのでChrome拡張機能も使用可能です。
Cometの最大の特徴は右側のAIサイドバー「Comet Assistant」です。
例えば開いたページを要約し、関連情報を自動で提示してくれます。またユーザーの文脈を理解して、必要な情報を先回りして提案します。
さらにメール・カレンダーとの連携機能も備えています。
他にもタブ管理やリサーチ支援など、実用的なAI機能が充実しています。
見た目はシンプルでも、裏側で高度なAIが動いています。
ニュースや学習、仕事の効率化にも活用できる設計です。
競合との違い
項目 | Comet(Perplexity) | Microsoft Edge Copilot | Brave AI / Arcなど |
---|---|---|---|
AIの位置づけ | ブラウザの中心にAIを統合(AIファースト設計) | 既存ブラウザにAIアシスタントを追加 | 検索補助や要約など限定的なAI機能 |
検索エンジンとの関係 | Perplexity独自AI検索と直結 | Bing + GPTベースで動作 | 既存検索エンジンに依存 |
動作スタイル | AIが自動で情報を整理・提示 | 質問に応じて生成(受け身) | 要約・翻訳など単発処理中心 |
主な機能 | ページ要約、関連情報提案、文脈理解、リサーチ支援 | Copilotチャット、要約、文書生成 | プライバシー重視の検索・広告ブロック |
ユーザー体験 | “AIがともにブラウズする”自然な操作感 | “質問→回答”型のアシスタント体験 | 軽量・ミニマル重視でAI要素は控えめ |
対応拡張機能 | Chrome拡張と完全互換 | 一部非対応 | 独自エンジンのため制限あり |
情報表示の透明性 | 情報源を明示(引用リンク付き) | 回答の出典が不明な場合あり | 検索履歴非追跡など透明性重視 |
対象ユーザー層 | 情報収集型ユーザー、研究者、学生 | ビジネス・文書作成中心の一般層 | プライバシー志向の一般ユーザー |
ビジネスモデル | 無料化+プレミアム情報提供(Comet Plus) | Microsoftアカウント連携による収益化 | 広告・有料プランによる収益化 |
総評 | AIを核とした次世代ブラウザ体験を重視 | オフィス連携型の実用AIブラウザ | 軽量性と安全性を優先する設計 |
Cometは他のAIブラウザと比べて“AI中心設計”が際立ちます。EdgeやBraveが検索補助型であるのに対し、Cometは主体型です。
つまりユーザーが指示しなくても、AIが先に動いて整理を始めることができます。
PerplexityのAI検索と直結している点も大きな強みです。質問すれば、Webをまたいで最適な答えを生成してくれます。結果の引用元も明示され、情報の信頼性も確保されています。
また有料版のComet Plusでは特別な情報ソースも利用可能です。専門家や研究者向けの機能拡張も計画されています。
UIは軽量で、AI動作による遅延が少ない点も高評価です。
AIとブラウザの融合をもっとも自然に実現した設計といえます。
安全性の課題

- セキュリティ上の懸念も報じられており、Comet がウェブページ要約時に悪意ある命令を実行する可能性やフィッシング詐欺への脆弱性が指摘されています。
- AI を介して自動で操作を試みる性質ゆえ、ユーザーの意図とズレる動作が出る可能性もあります。
- 無料化後も、「帯域・利用量制限」「高度機能の有料化」などで収益化を図る可能性が高いと見られています。
AIがWebを解析する仕組み上、セキュリティ懸念も指摘されています。
一部の専門家は、要約中に悪意あるスクリプトが動作する可能性を指摘しています。特にフィッシングサイトでの自動要約が危険とされています。
Perplexityは暗号化通信とサンドボックスで安全性を強調しています。
ただしAIが裏で処理を行うため完全な可視化は難しい問題です。ユーザーが知らぬ間に情報が送信されるリスクも残ります。
BraveやGuardioなどセキュリティ企業も監査を実施中です。
AIブラウザの安全性は今後の信頼構築のカギになるでしょう。
AIによる利便性とプライバシー保護の両立が問われています。
利用者が増えるほど、リスクマネジメントの重要性も高まります。
今後の展望
Cometは“AIが主導するWeb時代”の象徴となり得ます。
Perplexityはすでにスマホ版や企業向け展開を計画中です。スマートフォンにプリインストールされる可能性も報じられました。
もし実現すれば、ChromeやSafariの牙城を崩すかもしれません。
また企業が社内業務にAIブラウザを導入する動きも期待されます。AIが要約した情報をチーム共有できる仕組みも検討中です。
一方で、情報の「自動要約」が人の思考を弱める懸念もあります。ユーザーが“考える”余地を残す設計が今後の課題です。
利便性と知的主体性をどう両立するかが問われています。
Cometはその未来を試す実験場といえる存在です。
まとめ

「Comet」ブラウザの無料化は、AI時代のWeb体験を変える出来事です。
Comet はブラウザ体験の核に AI を据え、『ユーザーとともにウェブを旅する(travels the web with users)』アシスタントを備えています
AIが人間の思考を補助する新たな情報基盤として注目されています。
ただし、安全性・透明性の確保が今後の信頼を左右するでしょう。
競合も同様のAI統合を進める中、差別化はさらに重要になります。Perplexityが築いた“AIネイティブ体験”は業界標準になるかもしれません。
情報の取得から理解までを自動化する時代が始まっています。
しかし、人が考える余地を失わない設計も忘れてはいけません。
Cometはそのバランスを象徴するブラウザとなるでしょう。
AIと人の共創が、次のインターネットを形づくっていくでしょう。
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