Anthropic、最新AIモデル「Claude Sonnet 4.5」を発表 — コーディング能力と自律動作時間で飛躍的進化
米AI企業 Anthropic は2025年9月29日、新たな大規模言語モデル「Claude Sonnet 4.5」を発表しました。
今回のアップデートでは、コーディング能力、長時間自律稼働性能、そしてエージェント機能が大幅に強化され、ビジネス用途での実用性がさらに高まったとされています。
発表のポイント
- Claude Sonnet 4.5 は前モデルを大きく上回る性能を持ち、特に「コード生成」と「自律稼働時間」で大幅な進化を実現
- 内部テストでは、モデルが自動的にWebアプリを構築し、30時間以上連続稼働するケースが報告されている
- Microsoft CopilotやOffice製品群との統合が進んでおり、企業業務での利活用を意識した設計
- 出力制御(ガードレール)機能が強化され、安全性にも重点を置いた仕様
出典:
The Verge ”Anthropic releases Claude Sonnet 4.5 in latest bid for AI agents and coding supremacy”
Reuters “Anthropic launches Claude 4.5, touts better abilities, targets business customers”
Axios “Anthropic’s latest Claude model can work for 30 hours on its own”
背景と注目点
1. エージェント型AIへの進化
従来のAIは「入力に応答する」受け身の形でしたが、Claude 4.5は自律的にタスクを実行できる「エージェント型」への移行を示しています。
従来のAIはユーザーの入力に応答する「一問一答型」でしたが、エージェント型は自律的に判断しタスクを遂行できます。たとえば必要な情報を検索し整理し、コードを書いて実行するまでをAIが一連で担当することが可能です。
これによりリサーチ・文書作成・カスタマーサポート・開発補助など知識労働の自動化が進みます。
ただし誤出力や責任の所在などの課題もあり、完全自律型ではなく「人間と協働する半自律型」となるのが現実的です。
この進化はAIを単なる道具から“自ら動いて仕事をこなすパートナー”へ変える大きな転換点になります。
2. コーディング能力の向上
従来のLLMよりも複雑なプログラムを自動生成できるとされ、開発補助・SaaS構築・自動化 の分野での利用価値が高まります。
Claude Sonnet 4.5 は、従来のLLMよりもさらに複雑なプログラムを自動生成できるとされています。単なるサンプルコードではなく、Webアプリケーションを構築するレベルの成果も報告されています。
これにより開発者は設計や検証といった上流工程に集中できる可能性があります。
またSaaS開発や自動化スクリプトの生成といった分野でも利用価値が高まります。
AIが実用的なコードを書けるように進化しつつあるのです。
3. 長時間稼働の実現
「30時間無停止稼働」という報告は、監視、レポート生成、継続的データ分析といった業務に活用できるポテンシャルを示しています。
今回のモデルは30時間以上無停止でタスクを処理できると報告されています。人間の介入なしに長時間稼働できる点は、これまでのAIにはなかった大きな特徴です。
これは監視業務や継続的なデータ分析など、時間を要するタスクに応用可能です。
また長期にわたるレポート生成やシステム運用サポートでも活躍が期待されます。これにより人間が行っていた反復的な作業をAIが肩代わりし、担当者はより創造的な業務に集中できるようになります。
AIが「一時的な回答者」から「持続的な作業者」へと進化していることを示しています。
4. ビジネス利用を狙った戦略
Microsoft Copilotとの統合は、AnthropicがB2B市場での浸透を狙っていることを強く示唆しています。
Anthropic は Claude Sonnet 4.5 を 企業市場(B2B) に浸透させる戦略を打ち出しています。
Microsoft Copilot やOffice製品群との統合が進められており、業務ツールとしての利用されていくことが現実味を帯びています。
企業は日常的に使うWordやExcelの中で、直接AIエージェントを呼び出せるようになる可能性があります。これは「開発者だけのツール」から「一般ビジネスユーザー向けの生産性ツール」への転換を意味します。
AIをオフィスワークに溶け込ませることで、導入のハードルを下げる狙いがあるのです。
課題と懸念
- 安全性:長時間稼働による誤出力やリスクの拡大
- コスト:高性能モデルは推論リソース消費が大きく、利用料やインフラ負担が重くなる可能性
- 競争:OpenAIのGPT、Google Gemini、AlibabaのQwenなどライバルが多い中での差別化が課題
AIエージェントは自律的に動ける一方で、誤出力や幻覚問題(hallucination)のリスクを抱えています。タスクを自動的に進めるほど、エラーの拡散や判断ミスの影響も大きくなります。
さらに、結果に誤りがあった場合の責任の所在が不明確になるのも大きな課題です。
加えて、高性能モデルの運用には膨大な計算資源とコストが必要となります。企業にとってはコスト対効果を冷静に見極める必要があり、導入に慎重になる要因となります。
こうした安全性・信頼性・コスト面をどう解決するかが普及のカギとなるでしょう。
CodeBeat編集部の視点
Claude Sonnet 4.5 の発表は、AIが「自律的に動く時代」へ進む大きな節目となるかもしれません。
今後は、特化型モデルやコスト最適化技術の進展が競争の鍵を握るでしょう。
CodeBeat Newsでは、こうした海外AIトレンドなどを日本語で要約・解説し、継続的に追っていきます。
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